2023.03.16 コワーキングスペースとは?個人でも使える?使い方と用語の意味、シェアオフィスやレンタルオフィスとの違いを解説!

リモートワークや在宅勤務の広がりに合わせて、「コワーキングスペース」という言葉を聞く機会が増えてきました。

でもなんとなく聞いたことはあっても、ちゃんとした意味やどんな場所なのかを説明できる人は多くはないのではないでしょうか。この記事では、

  • コワーキングスペースの定義や意味を知りたい
  • どんな人が使ってるのか、利用者層や雰囲気を知りたい
  • 興味はあるがなんとなく行きづらいと感じている
  • そもそもどういう観点で選べばいいかわからない

という方に向けて、「コワーキングスペースまとめ」で数多くのコワーキングスペースをチェックした筆者がコワーキングスペースの意味や使い方をわかりやすく解説します!

コワーキングスペースとは?言葉の起源や意味を解説

そもそもコワーキングスペースとは「Co+Working+Space」の組み合わせで、言葉としては「共に働く空間」という意味の造語なんです。

1999年にアメリカのゲームデザイナーであるBernard De Koven氏が、「人々が非競争的に、対等に協力して働く」コンセプトをそのように呼んだのが始まりと言われています。このころから、コンピュータなどのテクノロジーの力により、共同作業はもっと容易になる、という発想はあったようです。

現在の日本でのコワーキングスペース

コワーキングスペースには明確な定義はなく、現在の日本でコワーキングスペースと言うときには、「個人または法人で、時間・期間単位で利用できる、オフィス設備が整った空間」を指すことが多いです。

この「個人でも使えるのか、法人専用なのか」「契約期間や料金体系はどうなっているのか」というようなルールが店舗によって異なるのが、コワーキングスペースを敷居の高いものに感じさせている要因のひとつではないかと考えています。

実際どのようなルールのコワーキングスペースがあるのかは記事の中で詳しくご紹介していきます!


ちなみに、ザイマックス「フレキシブルオフィス市場調査2022」によると、コワーキングスペースを含む東京23区のフレキシブルオフィスは2015年に115拠点、コロナ禍前の2019年には426拠点でしたが、2021年には882件に倍以上に増加し、2022年には1,080件に達すると予想されており、日本のコワーキングスペースはここ数年で一気に身近なものになったことがうかがえます。

コワーキングスペースはどんな人が使う場所?

コワーキングスペースはもともと「共に働く空間」という名前の通り、違う会社や業種の人とオフィスを共にするような場所です。

そこでは特定の人とだけ働く閉鎖的空間では生まれないような新しいビジネスアイデアが生まれたり、ビジネスパートナーを見つけたりすることが重視されていました。

そのため、利用ユーザーもフリーランスや個人事業主、起業家のような方が比較的多かったように感じます。

しかし、コロナ禍によってテレワークやリモートワークが一般的になったことでコワーキングスペース利用ユーザーの裾野はぐっと広がり、一般企業に勤める会社員の方や、副業をする主婦の方など、あらゆる仕事、世代の方が利用するようになりました。もちろん、学生利用OKのコワーキングスペースもたくさんあります。

おおまかには、ドロップイン(時間単位の利用)ができるコワーキングや、カフェのようにソファ席があるような雰囲気のところはカジュアルな服装で気楽に使える印象です。「仕事しないと…!」というようなプレッシャーも少なめなので、ちょっと動画を見ながら休憩したり、スマホを充電したりといった使い方もできそうです。

後述する「シェアオフィス」系のコワーキングでもドロップイン利用ができるところがありますが、基本的には長期契約で利用しているユーザーが多いので、ドロップインがメインのコワーキングに比べるとスーツの方が多かったり、いわゆる会社・オフィスな雰囲気が少し強いかもしれませんね。
オフィス家具もスタンダードな事務机やオフィスチェアが多いイメージです。誰かと会話しながら何かするのではなく、長時間集中して仕事をしたいときなどには向いています。

コワーキングスペースの設備は?何があるの?

「働くための場所」とは言っても、実際にコワーキングスペースには何かあるのでしょうか?これも店舗によって特色があるので一概には言えませんが、一般的には以下のような設備があるところが多いです。

コワーキングスペースによくある設備・サービス
  • Wi-Fi
  • 電源
  • PC作業に適した机と椅子
  • 複合機
  • フリードリンク
  • 文房具や充電器、モニターなどのレンタル備品

こうした設備を備えているところが多いようです。基本的にはWi-Fi、電源は無料、ドリンクバーも一部無料というのが一般的な印象です。

レンタル備品の無料/有料は店舗によって異なりますが、文房具や充電器、HDMIケーブルなどは無料のところが多く、複合機(コピー)の利用は使った分だけ有料、モニターや貸出PCは有料のところもある、という印象です。

店内レイアウトのイメージとしては、カフェのように様々な席種が並んでいるタイプや、オフィスのように整然と机と椅子が並んでいるようなタイプがありますが、ドロップイン利用の場合は空いている席を自分で見つけて自由に座るというのがベーシックな使い方になります。

ただ、店によっては特定の席を契約して自分だけの固定席として利用できる「固定席プラン」などがあるところもあります。

BasisPoint 吉祥寺店のドリンクバー

また、店舗によっては次のような設備やサービスもあります。どのように働きたいかによってコワーキングスペースに求める条件が変わってくると思いますので、働き方に合わせて必要なものがあるかチェックしておきましょう。

店舗によっては用意されている設備・サービス
  • ロッカー
  • プロジェクター
  • ホワイトボード
  • 雑誌や専門書
  • キッチン
  • フリースナック
  • シャワールーム
  • 無人(スタッフに会わずに入室、会計)
  • 登記、住所登録可能
  • 郵便、荷物受取可能
  • 24時間出入り可能
  • 撮影、ライブ配信可能
  • ワークショップや物販の利用可能

その他、専門家や他業種の方とのマッチングサービスや相談会が定期開催されていたり、はたまたサウナや温泉が併設されていたり、常に猫がいたりと特色のあるコワーキングスペースもどんどん増えてきています。

会議室や個室があるところも

先述の通り、コワーキングスペースは基本的にはオープンスペースがメインですが、数名~数十名入れる会議室を併設していたり、1名用の個室や、壁で区切られたブース席などを備えた店舗もあります。

特にコロナ禍によって「オフィスで働くことができなくなった人の仕事場所」としての需要の高まりから、個室やブース席など、1人で働く人向けの設備が充実した店舗が増えているように感じます。

BasisPoint 上野店の登記可能な個室エリア

コワーキングスペース利用シーン

それでは、実際にコワーキングスペースがどのように利用されているのかという例をいくつかご紹介します。

メインのオフィスとして

個人事業主や起業したばかりの小規模な法人の場合、オフィスを構えようとすると、小さな場所でも初期費用や什器の準備費用、光熱費などの負担はかなり大きいでしょう。

そうした場合、コワーキングスペースをメインオフィスとして利用することでオフィスにかかる固定費をグッと抑えられるというメリットがあります。

コワーキングスペースは基本的にはオープンスペースですが、特定の席や区切られたエリアを専有契約することができるところもあり、オフィス利用におすすめです。

ちなみに、このようにオフィスとして利用できるタイプの店舗は「シェアオフィス」「レンタルオフィス」という呼び方になっていることも多く、こうした店舗は法人でないと契約できなかったり、契約の際に審査が必要なこともあります。

なお、BasisPointでは、請求書払い可能で柔軟な料金体系のコワーキングスペース法人プランや、個室が契約できるシェアオフィスプランをご用意しています。

テレワーク・リモートワーク時の仕事場所として

自宅でリモートワークしたいけれども、「家だと集中できない」「家の机や椅子だと疲れる」「家族もリモートワークしていて部屋が足りない」という方の仕事場所としても、コワーキングスペースは利用されています。

この場合、長期契約は必要なく、短時間でも気軽に使える「ドロップイン」という料金体系がある店舗がおすすめです。

逆に、週に3,4日はコワーキングスペースで作業するという場合は月額契約の方がお得になることも多いのでチェックしてみましょう。

商談や打ち合わせの場所として

普段はオフィスや自宅で仕事しているけれども、出先でクライアントやチームメンバーと話がしたいという場合にも、コワーキングスペースが便利です。

カフェやファミリーレストランを使うという方も多いと思いますが、そうした場所は利用時間に制限があったり、最近ではPC作業や通話が禁止されていることもあります。

そもそも、必要な人数分の席が空いているか、店内の賑やかさはどれくらいかといったことは曜日や時間帯にもよりますし、運次第のところもあります。

コワーキングスペースは商談にもぴったりなソファ席や会議室を併設しているところもあり、予約可能な店舗もあるので安心して利用することができます。

会議室や執務スペースが不足した場合の臨時オフィスとして

最近ではWeb会議が増えたことによって会議室の使用率が上がり、会議室が不足してきたという声も聞くようになりました。

また、オフィスを移転するにあたっての臨時の執務スペースが必要になったり、プロジェクト単位で仕事するための専用スペースが必要、という場面もあると思います。

こうしたときにもコワーキングスペースを活用することができます。店舗によっては、会議室や広いエリアを特定期間だけ貸し切れるような場合もあるので、相談してみるのも良いでしょう。

Web面接やZoomの場所として

リモートワークは自宅でいいけれども、ちょっと大事なWeb面接やZoom会議のときは背景や回線速度が気になる…。そうした環境の心配をせずに集中したいならコワーキングスペースを使ってみましょう。少し早めに行って調べ物をしたり資料を印刷したりもできるので、準備万端で面接や会議に臨むことができますよ。

ただし、店舗によっては静かに集中したい人のために、会話やZoomが禁止というルールのところもあるので事前に確認しておきましょう。

時間単位で利用可能なBasisPoint 上野店の1名個室

朝活や自己投資の場所として

出社前、あるいは退勤後にコワーキングスペースに寄って資格勉強や副業などを行うという方もいます。

自宅にいるとどうしても家事に追われたり、疲れてついつい寝てしまったり…。そんなときは、コワーキングスペースに通うことを習慣にして自己投資の時間を確保してみてはいかがでしょうか?

適度な人目もあり、周りも仕事に集中しているので自宅ともオフィスとも違う緊張感で程よくスイッチを切り替えることができそうです。

資格・試験勉強やゼミの場所として

個人利用可能なコワーキングスペースは、ほとんどが学生さんの利用も可能です。

PCを使って調べ物をしながらレポートを書いたり、学習動画を見ながら資格勉強や試験勉強をするのにもおすすめですよ。

各種充電器やフリードリンクのある店舗も多いので、1日集中したいというときにも最適です。

グループで来店して話し合いながら課題に取り組んだり、教え合いながら勉強するのもいいですね。

充電場所・読書などスキマ時間を過ごす場所として

外出先でふと「次の予定まで時間が空いちゃったな…」なんてことありませんか?

カフェで3時間粘るのはちょっと難しいかもしれませんが、ドロップイン(時間利用)可能なコワーキングスペースならそんな心配はありません。

ちょっと気になっていた本を買って、ドリンクと共にゆっくりと過ごすというようなこともできます。

こうやって選べばOK!コワーキングスペースの分類

このように、コワーキングスペースは「フリーランスや個人事業主じゃないと使いにくい」なんてことはなく、様々な用途で使用することができます。

実際に筆者の体感としても会社員の方が増え、初めての方にも使いやすい場所になっていると感じます。

ただ、同じ「コワーキングスペース」というくくりでも以下のようなルールが店舗によって異なるので、なんとなく行きづらいというように感じるのではないでしょうか。

  • 個人でも利用できるか、法人専用か
  • 会員登録が必要か、不要か
  • 事前予約が必要か、不要か
  • ドロップイン(都度利用)できるか、定額制か

そこで、ここでは多店舗展開している施設をメインに、どんなタイプのコワーキングスペースがあるのかをざっくり分類してみていきましょう。

※複数拠点ある施設の場合も、当サイトの「コワーキングまとめ」に掲載している1店舗を例としてリンクしています

法人向けシェアオフィス/レンタルオフィス型

主に法人利用が原則で、非常に多くの拠点(店舗)があり、従業員が好きな場所を選んで働いたりメインのオフィスとして利用することができる施設です。

コワーキングスペースの一種と考えることができますが、シェアオフィスやレンタルオフィスという名前で提供されている場合が多いタイプです。

規模の大きい企業の「社員向けのリモートワーク場所」や「営業拠点」、「各エリアの事業部」のように利用されることもあります。

また、法人登記などが可能な場合、会社の住所としてその施設住所を利用できたり、郵便物を受け取ることが可能な場合もあります。

法人専用シェアオフィス/レンタルオフィス型の例
  • WORK STYLING(ワークスタイリング)
  • H1T(エイチワンティー)
  • SoloTime(ソロタイム)
  • Solaie +Work(ソライエプラスワーク)
  • NewWork(ニューワーク)
  • ZXY(ジザイ)

個人でも使える月額オフィス型

法人利用も個人利用もできるタイプのコワーキングスペースです。個人利用でも、信頼性の高い場所をオフィスとして確保したいという方におすすめです。

月額料金の他に入会費が必要だったり、最低利用期間がある場合もあるのでチェックしましょう。

個人でも使える月額オフィス型の例

時間・日単位でも使えるドロップイン型

メインオフィスとして使えるほどの本格的な設備は必要なく、その分リーズナブルかつ気軽に使いたい、という方におすすめなのがドロップイン利用が可能なコワーキングスペースです。

30分からなど、短時間でも使える従量課金制のタイプや、1日単位で利用できるタイプがあります。

時間・日単位でも使えるドロップイン型の例

無人・シンプルチェックイン型

テレワーク・リモートワーク需要の高まりにあわせて増えたのがアプリなどで簡単に入室できるシンプルチェックイン型です。全店対応はしていなくても、一部店舗を無人化、キャッシュレス化しているところもあります。

「オフィス」というよりも「作業場所」のニュアンスが強い印象で、受付などの処理がシンプルで誰でも気軽に使いやすい場所になっています。

決済も自動で行われたり、とにかく入退室の処理がシンプルであることが特徴です。

無人・シンプルチェックイン型の例

変わり種・コンセプト型

他にはない特色を持った変わり種のコワーキングスペースも登場しています。

例えばクリエイター支援のサービスが充実した「co-lab」や、スタートアップのメンバーが集まり切磋琢磨できる「co-ba jinnan」、エステ・ネイル・ヨガなどで起業もできる「マリアハウス」、最新コスメが揃った女性専用の「DAY ON SALON」、保育室併設の「CoCoプレイス」、ギャラリー併設で日替わりのフードも楽しめる「Sunshine City SOLARIUM」などなど・・・。

それぞれ業種や目的に特化していたり、コンセプトを重視した場作りが行われているので、きっと普段の生活では得られない出会いがあるはずです。

番外編・メタバース型

ここ数年、oViceなどバーチャル空間で同僚と一緒に働けるようなサービスが増えてきました。

これからは働く個人同士がつながる空間として、メタバースのコワーキングスペースが整備されていくかもしれません。

住んでいる国や地域にとらわれることのない共創空間、想像するとちょっとわくわくしますね。

なお、上記でご紹介した内容はあくまで各施設の主な使い方であり、他のプランが用意されている場合もあります。また感染症の状況等により利用時間が変動する場合もありますので、最新情報は各施設の公式情報をご確認くださいね。

コワーキングスペースは誰でも使える作業場所

コワーキングスペースはその意味の広さや、シェアオフィスやレンタルオフィスなど類似の用語も多いことから初めての方には使いにくいという印象があるかもしれません。実際、どんどん事業者も増えてその形態は多種多様となっています。

でも、その分「使える用途が増えた」「数が増えてどこでも使いやすくなった」という面もあります!

「ちょっと敷居が高いな」と感じていた方も、この記事でご紹介した分類を手がかりに、あなたにぴったりのコワーキングスペースを探してみませんか?

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BasisPoint 公式Twitter
BasisPoint 公式Instagram

<参考・参照サイト>

The History Of Coworking In A Timeline」(Deskmag 2020/6/14)
The Coworking connection – DeepFUN」(Deep Fun 2013/8/5)
コワーキングスペースの歴史 | Genie Agency Group LLC」(鶴見コワーキングスペース ブルックリンワークス 2020/6/14)
国内外のワークプレイス関連サービスをマッピング『世界のコワーキングサービス カオスマップ 2022年5月版』を公開|株式会社AnyWhereのプレスリリース」(PR TIMES 2022/6/3)

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